『Go Go Town』体験版レビュー

365
Go Go Town key visual

元記事著者:Rino 翻訳:葛西祝

Go Go Town key visual

オーストラリアの都市、ブリスベンを拠点とするPrideful Slothは、ハイファンタジーの『Yonder』と環境をテーマに錬金術で切り開く『Grow』の成功に続き、また冒険せずにはいられない世界を新たに作り出している。

今回、彼らは錬金術から電動器具へと道具を変え、愛くるしい町長となるシミュレーション『Go Go Town』を作っている。本作はまだ開発中だ。そこで本当に『Go Go Town』の町の人たちが長生きし、賑わっていけるかどうか確かめるため、デモ版に触れてみた。

あんた、町長に採用されたぞ!

本作はTownCoというエージェントによる簡単な紹介からスタートする。エージェントは町長であるプレイヤーにいくつかの基本操作を説明し、初めての建物を作ってもらおうとしている。デモ版なので、プレイヤーにはゲームの世界観よりもゲームメカニクスを把握してもらうことが目的なのだろう。

BitSummit Let’s Go!!で、Prideful Slothの創設者でありディレクターであるシェリル・ヴァンス氏に本作について伺うことができた。シェリル氏はゲームの前提について「マルチ商法、栄華を極めた町、そして資本主義の支配者を倒す」ものだと教えてくれた。

実際、自分のキャラが野菜畑でかわいく歩き回っているときでも、なにかよりやばいことが隠されているような、かすかなヒントがある。もっとこの世界について知りたくなるのは確かなのだ。より全体のストーリーが繰り広げられるだろう完成版への期待を抱くには十分だ。

Go Go Town Screenshot

自らの手で創れ

『Go Go Town』のゲームプレイはミクロなタスクからマクロな運営まで幅広い。まずはチェーンソーを手に取り、木を切って木材を生産することから始まる。木材はテーブルソーを使って、板に切り分けられる。鉱山でレンガを生産するのも同じ流れを繰り返してゆく。

そうした素材を建築現場に持っていけば、まもなく飲食店となる新しい建物のテープカットをすることになるだろう。そこでどんなお店にするか、自分で経営するか人を雇うかを選ぶことができる。

こうしたゲームプレイはゲームメカニクスの他の部分でも一貫している。めんどうな作業は全部オートにできるオプションもあるし、先述した素材集めの苦労もあとですべてアウトソーシングできる。これによりプレイヤーは自分で農作業をするか、親切な町の人にお願いするか、好みのゲームプレイを選べる余地が大きいのだ。

デモ版では町のほとんどが建設済みで、仕事をしてる町民たちで埋まってる。ゲーム全体としては町の発展と成長が目標だけど、デモ版の目標は『Go Go Town』で農業を体験したり、食べ物を届けたり、そして仕事を後押ししたりするサンドボックスとしてプレイすることにある。

本編では何もないところからスタートし、はっきりした達成すべき目標があり、最初の内は己の手でコツコツと作業し、町に住んでくれる人たちを増やしていくものになると思われる。

Go Go Town Screenshot

クレイアートっぽいキャラクターとファンキーな音楽

『Go Go Town』のアートスタイルはキュートな雰囲気やクレイアートっぽいキャラクターのほか、おちゃめでちっちゃな動きなど『どうぶつの森』にすごく似てる。こうしたアートスタイルで、運営シミュレーションのような複雑さを持つタイトルはこれまでに無かったため、面白いデザインのチョイスが効果をもたらしている。

お店はゴージャスかつ愛らしい見た目だ。特にクッキーとアイスクリームのお店とラーメン屋がそうだ。キャラクターのカスタマイズに関しては、デモ版ではメインキャラクターはランダムの組み合わせのみだった。ただSteamのストアページでの開発者ストリーミングによれば、Prideful Slothの前のタイトルと同様に本編では幅広いカスタマイズができるという。

音楽はまちまちで、いくつかの曲は場所や時間帯とマッチしていない。音楽が少々うるさく、耳障りに感じるときもあった。特に落ちついて作業しているときや、真夜中に町をぶらついているときがそうだ。とはいえこの点は後で直されるだろう。プレイヤーが聴きたい曲を選べるジュークボックスの機能があればなおのこと良い。

Go Go Town Screenshot

エイリアン、ゴースト、そのリファレンス群

『Go Go Town』からすぐに分かることは、「このゲーム、どれだけまじめにやってるんだろうか」ということである。明らかにデベロッパーは重く考えずに本作を微妙なサブカルチャーのリファレンスで満たしている。たとえばエイリアンが現れる前に「家に電話する?」と衛星から尋ねられたり、 “シッド”(ヴィシャス?)という名前のモヒカン頭でロックスタイルの町民がいたりする。

プレイヤーは配達トラックからレインボーの雲を残すユニコーンの自転車まで、さまざまな乗り物に乗って町を横切ることができる。それら乗り物は『グランドセフトオート』スタイルで手に入れられ、かつありがたいことに何のリスクもなく実際に人々を轢き殺せる。また町の人々のほか、エイリアン、ゴーストそして牛など誰とでもハイタッチができるのだ。たとえ何があっても「she’ll be right(なんとかなるべって意味のオーストラリアの慣用句)」とデンジャラスな電動器具を手にして仕事をこなせる点には典型的なオーストラリア人らしい何かがある。

『Go Go Town』は『牧場物語』のような生活シミュレーションゲームや都市運営シミュレーションとは別の位置にある。かわいいアートスタイルと驚くほど洗練されたゲームプレイのバランスを取っていることが、デモ版の段階でも感じられる。まだまだ解決すべき問題や、町の拡張などプレイできていない機能があるが、このデモ版自体にはたくさんの見込みがある。2024年にリリースされる本作の野心を楽しみにしている。

『Go Go Town』はUkiyo Studiosを通じてBitSummit Let’s Go!!にごしています。海外のゲームイベントで、ご自身のゲームを出展したいゲーム開発者やパブリッシャーの方はUkiyo Studiosの公式サイトよりお問い合わせください。

開発Prideful Sloth
パブリッシャーPrideful Sloth
発売日2024
価格TBA
対応機種Windows PC
葛西祝
WRITTEN BY

葛西祝

ジャンル複合ライティング。ビデオゲームを中核に、映画やアニメーション、スポーツや格闘技、美術や文学を越境するテキストを作り続けている。